森島医院Home > 受動喫煙症情報
受動喫煙症とは、タバコを吸わない人が、タバコの煙の混じった空気を吸い込むこと(受動喫煙)によって発症する病気のことで、次のような特徴があります。
タバコの煙に接した時に症状が始まる。
タバコの煙に接しなければ、症状が消失する。
受動喫煙がなければ、いつまでも症状が出ない。
タバコ煙以外の有害物質暴露がない。
これらの急性症状が受動喫煙のたびに反復して発症することで、診断が確実になってきます。そして、何年か反復発症するうちに、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、狭心症、心筋梗塞などが発症すると、慢性受動喫煙症と診断されます。さらに、これらの症状と重なって肺がんなどの悪性腫瘍や乳幼児突然死症候群、脳梗塞、心筋梗塞などの致死性疾患を発症すると、重症受動喫煙症と診断されます。
受動喫煙症の症状があるのに、病気だと思わず、我慢している方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。特に、喫煙対策が不十分な職場で働く方々は、慢性受動喫煙症や重症受動喫煙症になるまで我慢されてしまうことも、少なくないと思います。しかし、職場の環境衛生管理は企業の義務ですから、我慢する必要はありませんし、健康被害に遭わないための環境改善要求も、従業員の当然の権利です。
2005年4月、日本禁煙推進医師歯科医師連盟の受動喫煙症診断基準委員会より、受動喫煙症の分類と診断基準が発表されています。この診断基準をもとに、受動喫煙症の診断を行う医療機関がありますが、数がとても少なく、北関東では、当院を含めて数箇所しかありません。
受動喫煙症の診断には、患者さんが受動喫煙の被害を受けていることの証明が大切です。そのため、受動喫煙に遭った場所(職場、家庭、公共施設など)、期間、程度(部屋の面積、喫煙者数、換気設備の具合などの詳細)を証明する必要があります。
他人のタバコの煙が耐えがたい苦痛だと感じる方は、ぜひ、診察を受けてください。